ドリル製品のクレーム品に関する判断基準

判定 主な原因 補足事項
クレーム対象外 ① 製品の使用限界を超過(寿命) 相当数の穿孔作業により、チップ、スパイラルが過度に摩耗し、穿孔が困難な状況となっている。
② 電動工具の選定ミス A:使用モードの選定ミス
回転・振動・打撃等の使用モードの選定ミス。各ドリルビットに適合しない使用モードで穿孔を行った場合

B:性能の選定・調整ミス
選定工具の能力(パワー)が大きい・回転数が速いなど、工具の性能や調整が適切でない場合。

上記のいずれかあるいは両方により、ドリルビットへの過度の負担が不具合を発生
③ 母材による影響 硬質な母材への穿孔、または躯体内部の鉄筋干渉により、ドリルビットにダメージを与えている。
④ 有効長以上の穿孔 切粉の排出が上手く行えず、刃先、スパイラル軸に切粉が詰まることで、異常な発熱や金属疲労が生じている。
⑤ 電動工具の故障・不具合による影響 電動工具の装着部のガタツキによりブレが発生し、シャンクの早期摩耗が促進され、ドリルビットにダメージを与えている。

クレーム対象外 ハンマー用ドリルビットの不具合事例 (HEX,SDS,ADXタイプなど)

現品の状態 不具合 原因
チップ割れ
(アンカードリル)
  • 母材による影響
    適合外の母材(石材や鉄板などの硬質な母材)への穴あけや、躯体内部の鉄筋に干渉すると、衝撃によってチップが割れる場合があります。
チップ割れ
(オールドリル)
※ハンマー用
  • 母材による影響
    適合外の母材(石材や鉄板などの硬質な母材)への穿孔や、躯体内部の鉄筋に干渉すると、衝撃によってチップが割れる場合があります。
チップ外れ
  • 製品の使用限界を超過(寿命)
  • 電動工具の性能の選定・調整ミス
    回転数が速すぎるなど。
  • 電動工具の使用モードの選定ミス
    ハンマー用ビットを回転モードで使用し続けた。
  • 母材による影響
  • 有効長以上の穿孔
    切粉の排出が上手く行えない状態。

※上記要因によって刃先部分が熱を帯び、ロウ付け強度の低下によって、チップが外れる場合があります。

チップ周辺の
軸折れ
  • 製品の使用限界を超過(寿命)
  • 電動工具の性能の選定・調整ミス
    打撃が強い、回転数が速すぎるなど。
  • 母材による影響

※上記原因によりチップ周辺の軸部に金属疲労が蓄積され、破断する場合があります。

スパイラル軸破断
  • 製品の使用限界を超過(寿命)
  • 電動工具の性能の選定・調整ミス
    打撃が強い、回転数が速すぎるなど。
  • 母材による影響
  • 有効長(スパイラル長)以上の穿孔作業

※上記要因によってスパイラル軸に金属疲労が蓄積され、破断する場合があります。

六角軸部摩耗
  • 製品の使用限界を超過(寿命)
  • 電動工具の故障・不具合による影響
    電動工具内部にあるギア部品(ファイナルギア、セカンドハンマ)が摩耗していると、六角軸部の早期摩耗に繋がります。また、ドリル装着の際に、グリスの塗布を怠りますと、ギア部品との金属干渉によって発熱が生じ摩耗が促進されます。

クレーム対象外 回転用・振動用ドリルビットの不具合事例 (B,SS,GRタイプなど)

現品の状態 不具合 原因と補足
チップ割れ
(オールドリル)
※ハンマー用
  • 電動工具の使用モードの選定ミス
    ハンマーモードでの使用等
  • 母材による影響
    硬質な母材の表面上でドリルビットを横滑りさせると、チップが割れる場合があります。
※回転用・振動用ドリルビットに市販のハンマーチャックを使用してのハンマーモードでの穿孔は禁止

クレーム対象外 ダイヤモンドコアドリルの不具合事例 (LDタイプ)

現品の状態 不具合 原因
ダイヤモンド
チップ割れ
  • 電動工具の使用モードの選定ミス
    ハンマーモード、振動モードでの使用(ダイヤモンドコアドリルは回転モード専用です。)
  • ダイヤモンドチップに対しての過度の衝撃、負荷がかかる状況
    ダイヤモンドチップに対する横方向の加圧、鉄筋切断時の過度な押しつけ
ダイヤモンド
チップ目詰まり
  • 電動工具の性能の選定・調整ミス
    回転が速い機種の使用
  • 母材による影響

※上記原因によってダイヤモンドチップの摩耗(代謝)が行われにくく、目詰まりする場合があります。
対策:ダイヤモンドチップの目立てを行う。
方法:ブロックや砥石に対して、かるく穿孔をおこないます。(1〜5回程度)尖ったダイヤモンド砥粒が出てくることを確認します。

刃先焼け
(変色あり)
  • 電動工具の性能の選定・調整ミス
    回転が速い機種の使用
  • 母材による影響

※目詰まり等で切れ味穿孔性能が低下した状態や遅い早い回転数で使用されますと、刃先部分が熱を帯びて、刃先焼けを発生させます。刃先焼けはロウ付け強度を低下させるので、チップが外れる場合があります。

ダイヤモンド
チップ潰れ
  • 電動工具の使用モードの選定ミス
    ハンマーモード、振動モードでの使用
    ダイヤモンドコアドリルは回転モード専用です。打撃や振動を生じる穿孔を行いますと、ダイヤモンドチップが潰れます。

クレーム対象外 金属板用ビットの不具合事例(AQ, HBTタイプ)

現品の状態 不具合 原因
刃先焼けー切削不能
刃先破損
(ハイビット)
  • 製品の使用限界を超過(寿命)
  • 電動工具の性能の選定・調整ミス
    回転が速い機種の使用
  • 母材による影響
    ステンレス板などの難削材への穿孔は不可(適合母材以外への穿孔)
    炭素鋼、合金鋼へ穿孔する際は、必ず冷却油をご使用ください。
    適応板厚2.0mm以上の厚板への穿孔(板厚が2.0mmの場合は、適正回転数の下限値近傍でご使用ください)

※上記原因により穿孔性能が低下した状況で穿孔を行うと、刃先部分が熱を帯びて、刃先焼けを発生させます。
※刃先部分が母材に引っかかるなどして欠けた場合も、刃先の破損につながります。

チップ外れ
チップ欠け
(オールソー)
  • 製品の使用限界を超過(寿命)
  • 電動工具の性能・調整ミス
    回転が速い機種の使用
  • 母材による影響
    ステンレス板などの難削材への穿孔は、通常の半分程度の回転数でご使用ください。
    適応板厚以上の厚板への穿孔
    金属板は4.0mmまで、ステンレス板は2.0mmまでが適応板厚となります。

※段差部分への穿孔や母材への不慮の引っかかり等で、チップが欠けたり、外れたりする場合があります。